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矢倉4三銀3七桂型激減の理由 [将棋]

まとめサイトあたりで「居飛車党の先手番で指す戦法がない」という話を見かけて気になっていたところ、矢倉の4六銀3七桂型については渡辺二冠が解説してくれたのでメモ。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm26305132
真ん中あたり~

・4六銀3七桂の4六銀を指す前の局面
 http://kyokumen.jp/positions/11604
・▲4六銀に対して△5三銀、そして▲3七桂で先手がやれるというのがそれまでの常識だった
 http://kyokumen.jp/positions/18268
・△5三銀に代えて△4五歩が1つ目の新手
 2年前ぐらいに塚田泰明九段がやりはじめた、コンピュータにやられて咎めるのが難しかったらしい

・▲3七銀と引いてからは、△5三銀
  http://kyokumen.jp/positions/30497
・▲4六歩か▲4八飛
・▲4八飛に△4四銀右だと後手はあまり良くないというのが去年までの常識だった
 http://kyokumen.jp/positions/30498
 http://kyokumen.jp/positions/290543
・ここで、2014年秋ごろの電王戦タッグマッチで菅井習甦が△5五歩とつく(居飛車党にとって)超斬新な手順で勝った
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm24542406
 1:48~

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm24540765
 12:00~ 5五歩がコンピュータにとって常識的なのかどうか聞いている渡辺二冠

・渡辺二冠は△5五歩が成立するなら、△9四歩も成立するとみて順位戦に採用
 行方尚史 vs 渡辺明二冠 2015-01-08 第73期順位戦A級7回戦
 http://kifdatabase.no-ip.org/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display2&kid=82432

 http://kyokumen.jp/positions/4793505

・さらにJT杯で羽生相手にも指したところ快勝した
 http://live.shogi.or.jp/jt/kifu/35/jt201411160101.html

 △9四歩のコメント
 △9四歩に羽生の手がしばし止まっている。
「研究が深すぎて解説がついていかないですね」(藤井九段)

 △7三桂のコメント
△7三桂に羽生が時間を使っている。
「じゃあ羽生名人に次の手を封じてもらいましょうかね」と藤井九段。
17時18分、羽生が封じ手の意志を示したようだ。対局はしばしの休憩に入る。両対局者がステージから降りてきた。
ここまでの消費時間は▲羽生9分、△渡辺3分。
藤井九段の候補手は▲6四角や▲6八角を、矢内女流五段は▲5五歩を挙げている。他にも▲9六歩などが考えられるようだ。
対局は17時35分に再開予定。
35分、渡辺、羽生の順にステージへ向かった。

 正解者無しで話題となった封じ手クイズだったが、今までの話があったとすると、藤井九段は研究通りの展開になって一方的にならないようにしようとしていたのかもしれない。

・▲46歩、△同歩、▲同角のときに、「△7三桂と跳ねて問題がない」のが△4五歩からの後手の主張
 http://kyokumen.jp/positions/5968266
 先手から▲6四角と角交換してきたときに、△同銀で取る(http://kyokumen.jp/positions/11556489)と、▲7一角打、△7二飛、▲3六馬と馬がタダで作られて後手は面白く無いとされていた。ところが、△8五歩が入っていないので、△8五桂から後手が攻めることが出来る。(一手損角換わりと同じ理由?)

後手番一手損角換わり
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%89%8B%E7%95%AA%E4%B8%80%E6%89%8B%E6%90%8D%E8%A7%92%E6%8F%9B%E3%82%8F%E3%82%8A

 そこで、羽生4冠はJT杯のときに、先に8五桂への銀当たりを緩和する▲6八銀を封じ手にした。

・このJT杯の快勝のイメージが強いので、今のところ後手番のほうがよい変化が多いとされている

 投了時のコメント
△5九角からの詰めろ。先手玉は受けが難しい。
△3九成桂に羽生が投了。渡辺が日本シリーズ初優勝を決めた。
局後、「作戦的にこちらが用意してきた手(42手目・△7三桂)が出る展開でアドバンテージがあったと思います」と渡辺。
「封じ手の▲6八銀(43手目)がどうだったか。あまりよくなかったかもしれません」と羽生。
感想戦は▲6八銀に代えて▲6四角と取る手が検討された。手順は43手目コメントに追記しました。
表彰式後、渡辺は「ようやく初優勝することができて良かったです」とファンの前で語った。

 矢倉の4三銀、3七桂型については4五歩以下の望ましくない手順が多いので、違う形(脇システム?など)が模索されている模様

■局面ペディア
 局面ペディアの存在を思い出したので見てみたところ、Floodgateでは定跡DBの影響が大きく、▲4六銀に対して△5三銀とするソフトが大半であるため、あまり参考にならない。特にTitanda_Lは1秒で5三銀としている場合が大半のようなので、この定跡は外してみても良いのではないかと思う。
 GPSFishだと△4五歩はかなり「迷う」手のようではっきりしない。
 Aperyは明確に△4五歩一択になっている。Aperyは4五歩以下の展開が後手有利と判断しているため、その前の△2二玉ではなく△9四歩で後手が若干やれると判断している。そのため、2二玉で入城して4六銀3七桂の形にはならないようである。
 http://kyokumen.jp/positions/7817

 あと、2014年ponanzaも5三銀は決めてしまっているようにも見えるので、もし矢倉に誘導できるのであれば、4五歩あたりから活路を見いだせたかもしれない。Aperyの場合、この局面がちょうど30手過ぎたところなので、「30手までは定跡手順」とすると5三銀が定跡手順に入らないので、コンピュータ同士だとここに来る前に変化をする事が多い模様。

■反響
 
△45歩も(62飛では)簡単ではないと思うのだが、「先手を持って覆すのは面倒だし、他の形にしよう」という流れかなぁ。 もしくは摸索中か。


 先手で主導権があるはずなのに好ましい変化が少なくなってしまったのでよほどの矢倉スキーでないと積極的に選ぶ理由がない、というところだと思う。
 先手矢倉のテーマとして、脇システムや早囲いに活路を見出しているのが現状のようだ。

■参考書


プロの定跡最前線 矢倉△4五歩作戦の研究(将棋世界2015年09月号付録)

プロの定跡最前線 矢倉△4五歩作戦の研究(将棋世界2015年09月号付録)

  • 出版社/メーカー: マイナビ(日本将棋連盟発行)
  • 発売日: 2015/08/05
  • メディア: Kindle版



ちょうど将棋世界の別冊付録にこの変化を軽くまとめたものが出た。ただ、上記の変化の前の段階(7五歩からの変化)の説明が多い。5五歩、9五歩についてはかなり驚いている様子が伺える。

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