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スター・ウォーズ フォースの覚醒 感想 [映画]

 忘年会兼ねて見てきたので、酔っぱらいが勢いで書いた感想。

 あまり良く知らないスター・ウォーズを見るにあたって、過去6作品を曲がりなりにも完走したうえでの視聴だったが、2015年の映画を締めくくるにふさわしい映画で大変満足した。総括すると

 「J.J.エイブラムスよくやった」

 元々スター・ウォーズはSFの実験的、男子が好きなおもちゃ箱的な作品であったが、熱心な信者がついたがゆえにその後迷走を続けていた(と6作品見て思った)。しかし、「それっぽいものを万人向けに適当に作る」ことにかけては右に出るものがいないJ.J.エイブラムス。小難しい要素がいっぱい詰まったスター・ウォーズを、(次世代になって配役をリセットしたとはいえ)スカッと後腐れなく完結した映画にしてくれるのではないかという期待があったが、見事に期待通りの映画になっていた。

 前のスター・ウォーズの雑な感想にも書いた「スカッとしなかった部分」は完全にクリアされていた。

 以下ネタバレ

・デススターを超える、惑星デススターを容赦なく破壊
 「デス・スターよりも数倍でかいんだぜ」とアピールしておいて、その惑星を現代のCG技術で見事なまでに破壊。しかも破壊のプロセスが長い上に内向きに一度崩壊してからの爆発という大変素晴らしい描写。1スカッポイント。

・レーザーブレードチャンバラでダースベイダーもどきをバッサリ
 エピソード6の感想として「なんで皇帝倒すのにバッサリ行かないのか」と書いたが、惑星を破壊しつつも最後は肉弾戦でスカッとダースベイダーもどきをなぎ倒したうえで終了。追加の1スカッポイント。

 というわけで過去6作品でモヤモヤしていた部分が、完璧にスカッとしたので大変満足した。

 あとあまりのSW人気のため「前から3列目での3D視聴」という結構無謀な視聴を強いられたが、特に小難しい話がなくスカッとするような話だったので、視界を覆い尽くす3D映像は迫力があってよかった。いつものプレミアシートだと逆に迫力を感じなかったかもしれない。見終わった時の腰と首が痛かったが、映画に満足したので心地よい痛みであった。

 以下小難しい話

 S/Wが最初に出た当初(85年)は、アメリカも白人優位で黒人といえばチンピラ役がせいぜいだったというような時代だった。(作品は違うがバック・トゥ・ザ・フューチャーのような一見平和的な作品ですらシリア人がドクを殺害するというようなアメリカ白人特有の偏狭な描写が多かった。また民主的とされるアメリカで黒人のロサンゼルス暴動が92年だった)。今回の映画化ではそういうアメリカの白人優位、男尊女卑的な面がアメリカの(表向きには)理想とされている配役に変わっていた。

・女性が主人公
 しかも、スカベンジャー(盗掘者)で生きているような逞しさを描写。これは日本映画では絶対に見られない描写。日本では「ハケンの品格」みたいな都合のいい安月給女性みたいなのを平気で描写してフェミ界隈もろくにクレームを付けない。アメリカでは保守的な軍隊も2015年になってやっと特殊部隊に女性が参加という具合になって、女性も男性並に活躍する以上はリスクも苦労も取るという描写が普通になっている。安倍首相も「女性が活躍する社会」みたいなことを言うなら、せめて「こういうのが理想である」というようなものを示すべきである。そのくせ自民党の有力な支持層が日本会議みたいな明治時代への回帰みたいな男尊女卑を表に出して憚らないようなところが末期的である。
 日本はそういう「外圧があったから女性活躍」みたいなアホなことを言っている一方で、当のアメリカでも「現実問題としては白人男性の優位は変わらない」というのがTEDでもあった。

 https://www.ted.com/talks/sheryl_sandberg_why_we_have_too_few_women_leaders?language=ja

 現実との軋轢はあるにせよ、理想的にはこういうのがあっていいと表現できるのは、赤狩りに対抗していたハリウッドのDNAを受け継いでいると思う。アメリカ軍マンセーに陥ってオートボットがろくに活躍できなかったトランスフォーマーとは雲泥の差だと思う。J.J.エイブラムス見なおした。

 あと帝国側ですら、惑星破壊兵器のオペレーターや中間管理職(の部隊長)に女性がいたところに、未来のジェンダーフリーを描写していると思った。エピソード4ぐらいの時代だと帝国は男尊女卑、レジスタンスはジェンダーフリーぐらいの描写をしていたと思う。

・黒人がサブキャラ
 あまりキャラ付けの意味はなかったが、女性メインで補佐が黒人という組み合わせは(表向きには)自由を信奉するアメリカが(表向きには)理想とする配役であったと思う。リベラルとされるCNNですらメインキャスターは白人で、格が少し落ちるところに、黒人やヒスパニックを配置しているので、この点に関してはかなり攻めたと思う。ただ、役者の腹が少し出ていたのだけが残念だった。ここらへんは昔の白人優位のハリウッド映画を見ていた昭和の人間からすると、(空想の世界であるにせよ)時代は変わったなぁと思う。

・共産主義への敵愾心の変遷
 スター・ウォーズEP4の時代は共産主義vs自由主義()という構図があり、エピソード2ですら「自由主義は終わった」みたいなことを言い出す始末だった。ところが、今回のフォースの覚醒は、昭和の感覚的な「帝国」という感じがしなかった。上記のように帝国=男尊女卑ではなく、中間管理職など重要なキャストを女性が占めていた。これは企業での女性の活躍を求めるアメリカの理想であり、エピソード4での帝国はフォースの覚醒では「国ですら潰せない大企業」へと変わったのではないかと感じた。(欧米のアフリカを「搾取する大企業」を特集するようなドキュメンタリーを見ていると企業への批判をかわすような人物は大抵女性で、そのくせ答弁はおっさん的にのらりくらりとかわすようなことしか言わない。)

 ちなみに話の構成はエピソード4を現代の感覚での焼き直しなので、昭和な人間は4だけは見て復習しておくと、いろいろ懐かしい気分になれる。

・エピソード4:辺境の惑星に済む白人少年が、「おらこんな村~いやだぁ~」と思っていたところに、姫が現れて、あれよあれよというまにレジスタンスの中核になり、共産主義の帝国に一撃を加える映画
・フォースの覚醒:辺境の惑星で盗掘している女主人公が、フォースの力であれよあれよというまに力をつけてダースベイダーもどきをばっさりやる映画

その他

・R2D2がBB-8になって妙に可愛らしい
・ダースベイダーがダースベイダーの信奉者(しかも弱い)
・デス・スターが惑星を改蔵した兵器になって強大になっている

 などなど、エピソード4を見ていると、似てるけど違うところが多いが大筋の展開は同じというとこがまた素晴らしい。また、「30分番組*4」という構成が多かったS/Wの過去作品とくらべてシーンチェンジが巧みであった。移動しているだけのハイパードライブ中に会話をして理解を深める時間を与えるなど、大変現代的な映画の作りで親切だった。

 というわけで、エピソード4を見ている人には100%オススメできる映画だと思う。

 最後に難点といえば、最後の最後に満を持して登場したルーク・スカイウォーカーがデブだったこと。レイア姫が20kg減量を強いられて愚痴っていたが、ルークも40kgぐらい減量を強いるべきだった。大体世捨て人みたいな生活しているはずのジェダイが、「バターや肉をたくさん食べてます」みたいな丸々とした体格ではまったく説得力がない。それともあの緑と水が豊かな惑星は「飯がうまい」と食べ過ぎて太ったとでも言うのだろうか。という最後の最後によりにもよって元祖の主人公がイマイチだったのが残念でならなかった。

 http://www.asahi.com/and_w/interest/CGcinema364801.html

 いい作品を見た後では、完璧なインタビューであると賞賛したい(笑)

 あと、どうでもいいところでは、テロップロールに韓国系(LEEとかKIM)が多かったのも時代だなぁと思った。韓国にCG系のいいスタジオがあるんだろうか。

 以上、細かいところは気にすれば気になるものの、今年の締めくくりとして後腐れなくスカッと爽やかに見る映画としては最高だった。来年のハリウッドにも80年台のような共和党色に回帰せずに理想を演出して欲しいと思うが、それもこれも大統領選挙次第かなぁとも思うので、ヒラリー・クリントンには大統領になってもらいたいと思う。

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